【『素数たちの孤独 (La solitudine dei numeri primi)』パオロ ジョルダーノ著、飯田亮介訳 】
Olympus PEN E-PM1 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8
夜間に雨が降って今朝は曇り。涼しめの朝。
天気予報によると午後には雷雨の可能性も。
今年の8月は珍しく雨が多い(といっても実質2度くらいで丸一日続いたことはないのだが)。
先日日本の知人が来たときに『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』と一緒に持ってきたもらったもう一冊の本パオロ・ジョルダーノ著、飯田亮介訳『素数たちの孤独』を昨晩読了。
イタリアの小説を読んだのはたぶんこれが初めて。(英伊語については原語で読んでもよいのだけれど愉しむための読書は邦語訳されたものにしか手を出さないことにしている。)
この本を頼んで日本から取り寄せたのは、訳者の飯田亮介氏が中部イタリア東側、マルケ州モントットーネ村に在住の方でTwitter( http://twitter.com/kirokubito )とfacebookで少し個人的なつながりもあり、彼の訳した本を一度読んでみたかったというのが理由。
こんなつぶやきをみると断然「ひと」に興味がわいてしまう:
http://twitter.com/kirokubito/status/346386374498332672より。
引用:〔今日も超訳と適訳と意訳の狭間で、男は震えていた。 「お前はもっと素直に踊ればいいんだ。『訳者は役者』、かの相原先生の言葉を忘れたか? 誤訳の指摘が恐い、だと? そんなことでこの荒野をどこまで歩けると思ってるんだ……」 てな、ハードボイルドっぽい作品、誰か書いてくれませんか。〕
さて、実際に本を開けると読みやすく、スッと入っていける。
よい文章が綴られている証拠だろう。
表現は比較的ストレートな傾向なように見受けられた。
イタリア語の原作を目にしたことがなくても、これを日本語にするのは大変だっただろうなぁ思えるかなり練られた箇所も多い。
最後まで自然な流れで読めてエンディングの収め方が、しっとりとしてよかった。
長くなるので内容にはここでは触れないことにするが、正直、個人的にはこの小説自体にはそれほど感銘を受けることがなかった。登場人物にいまひとつ深みを感じられなかったことと、多くの段落でストーリーを読者の想像力へ引き渡すタイミングが早すぎる感が否めなかったこともあるかもしれない。
恋愛感情と男女の友情、微妙にどちらとも言いかねる狭間的雰囲気をデリケートに醸し出しせているところには讃を送りたい。
全体のヴォリュームをあと30%増して、もうすこし突っ込んで、苦しんで人物を作って欲しかったかかなとそんな気はする。
読了後ひとつ思ったこと。
実際にこの小説の主人公の二人に似たトラウマを持つ人がいたとして(けっこういると思う)、そうした心に深い闇を持つ者に、この作品がどれほどの共感を持って受け止めるのだろうか。
興味深いところ。
この作品は映画化もされていてDVDも手に入れたので近いうちこちらも観てみたい。
ちなみに飯田氏は素敵な山の写真を撮る方でもある。
あまり多くないイタリア在住の日本人男児としても、これからの活躍に期待したい。
同氏のブログ: http://ryosukal.blogspot.it/
8月19日の状況メモ:
朝起きぬけの体重:66.20kg
ランニング直後の乾燥体重:63.70kg
ランニングタイム:31分44秒
飲酒なし
8月19日のアクティヴィティ↓