Chiezaru’s diary

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私が天使になった瞬間


【 祝福の満ちた時 】
Canon EOS 5D + Canon EF 70-200mm f/4 L USM

先日ヴェネツィアに行ったときに撮ったもの。
向こう側の橋を見ると陽の光が綺麗に差していて風景に人が入っていなくても良い絵になっているところに、たまたまカップルが通りかかり立ち停まった。

光の中で寄り添う二人。はっとするシーンだったので、5Dのファインダーで覗いて構図のあたりを付けてみるとシャッターを切った。
迷うことなく、まるで予定調和があったかのような我ながらスムーズな動作で一瞬を切り取ることができた。

後日PCに落としてLightroomで現像。
これもやはり撮るその時点からイメージが決まっていて、色調調整して再現したものがこの写真。

なんだか不思議な一枚であの場に居合わせた瞬間に全てが決まった感じがあった。
この数瞬においてカップルは保留のない祝福の中にあり、彼らの世界の外にいる自分がその場面に取り込まれて居合わせることとなった。たぶん彼らにとってもっとも幸福な時間のワンシーンは、カメラによって保存されそれはそのまま永遠に続くものとして封印されたことになる。

あのごく限られた瞬間と空間において自分はまさに天使であったといえる。
目に入らなくとも祝福のなかの二人のそばをそっと横切って証人となったのだから。

ファインダーの中に切り取られたシーンは写真では表現できない包み込むような光の柔かさがあってひときわ美しかった。
この記憶は私だけのもの。撮った者の特権。