Chiezaru’s diary

字を書くときはChiezaruで写真を撮るときはMeta_Monkey

読書映画鑑賞等々近況


【 はこはこび 】 - ハバナ、キューバ - Canon 5D + Canon EF 24-70mm f/4L IS USM
(キューバのホテルのロビーで箱を運んでいる従業員が通り過ぎたときに撮った一枚。)

昨日から昼間はすっかり夏日なった。ローマの夏。
オフィスでは午後から今年初めての冷房を入れた。

今日も暑くなりそう。

以前は読んだ本と観た映画については備忘録的に日記にメモしていたのだけれど、このところなんとなく面倒臭くなってやめてしまっている。

とはいえ読書はコンスタントに、映画鑑賞は時々している。

ここ一、二年は無料デジタル出版の恩恵を大いに享けていてデジタル書籍を読む比率が高くなってきた。最近は温故知新的に吉川英治かなりはまっている。

『宮本武蔵』を皮切りに中学のとき以来の再読の『三国志』、数編の小作品を終え、今は大作のひとつ『私本太平記』、全13巻。現在は4巻『帝獄帖』を通勤のメトロの行き帰りで少しずつ。毎日の通勤時間が楽しみになるというのは人生における小確幸に数えられるなと思う。

史実を題材としたフィクションでなのだけれど、筆者がこうであっただろうと思いを馳せる鎌倉時代の終焉、南北朝から室町時代へ至る歴史の流れ、そしてその中で懸命に生きる人々を、読み易い文章と卓越したストーリーテリングによって生き生きと描写していて、読み出すとぐっと引き込まれてしまう。
ふと気がつくともう降りる駅になっていることもしばしば。

まだあと9巻残っているので、まだしばらくはこの愉しみが続く。

ところで無料デジタル出版を読むとき、Androidのアプリでは「青空文庫」より、「青空司書」のほうが使い勝手がよい。
「青空文庫」は定期的にアップデートをしていないとネット接続のない環境でデータを読み込み不能のエラーがでて、通勤中、メトロに乗ってから読書の続きをしようとおもってタブレットを開いても使えないことが頻繁にあった。
「青空司書」のアプリのほうは一度作品をダウンロードさえしておけば、いつでも問題なく好きな本を好きなときに読めるので、「青空文庫」はアンインストールして司書のだけ使っている。

紙の出版物のほうでは村上春樹の『若い読者のための短編小説案内』を。
作品中で紹介されている小説を読んだことがなかったので、すべて日本のAmazonで買って取り寄せた。
旧い本が多く、新品が無いものはAmazon出店の古本屋から探して一冊ずつ注文、それらをまとめて一括発注、こちらに発送した。
なのでまだ『若い読者のため・・』は冒頭だけ読んで、まず予備知識を得るために、そちらを読んでいるところ。
肌の合う作家は読みやすくすらすらと行くし、少し読んで停滞してるものも数冊ある。

最近何本か観た映画からもっとも印象に残った作品は中島哲也監督、松たか子主演の『告白』(2010年)。
例のごとくあらすじは省いてざっくり鑑賞後の印象だけ。

現代人が抱えている理不尽な人間関係のなかのやるせない現実。昨今の、ずるい人間に対して正義(良心)は勝てないという社会的なジレンマの構図に挑戦して巧みなバランス感覚でにカタルシスに持っていくストリー展開は素晴らしいと思った。エンターテイメントとしても秀作。

暗くネガティヴな物語なのに最後に観客に、してやったりと思わせてくれるあたり、精神衛生的な面からもちょっとした憂さ晴らしになる。

ただ、ここ数年、ニュースの記事など読んでいると、巷にはこの物語をスケールダウンさせたようなケースが満ちているのがよく分かる。そして実社会の大多数の場合、結びの懲悪の部分が欠落している。フィクションよりも深く病んでいる現実の社会の怖さのほうも再認識することになった。

『告白』、いい映画だったと思う。原作の小説も機会があったら読んでみたい。