Chiezaru’s diary

字を書くときはChiezaruで写真を撮るときはMeta_Monkey

頭にきた


【 ハンドル 】
Canon EOS 5D + Canon EF 70-200mm f/4 L USM

(1月は今ひとつ撮りたい被写体が思いつかず撮り貯めのストックから。)

自分自身をたいてい温厚な性格だと思っているが、他人への敬意を欠いた言動、行為を目の当たりすると意外と熱くなる。これは自分の身に起こってもそうであるし、他人だとしても同じ。

昨日は自分の方。
久しぶりに頭に来た。

捻挫も思いのほか回復が早くもう歩くのはまったく大丈夫になり、運動不足を少しでも解消するために歩いて帰宅。

ウチは二階(日本で言う三階)なので階段を上っていくと、ガス会社から派遣された技師がウチの階下(真下)のアパートのガス管を修理していたのでブォナ・セーラ(こんばんは)と挨拶して通り過ぎた。修理していたのは部屋の外側の壁、階段途中。

家についてしばらくするとガンガンガンと壁をたたくすごい音がする。
ガス管を検査するためにその周りの壁を壊しているらしい。作業をしているのがちょうどウチのベッドルームの壁の外側2メートルくらい下に当たる場所。

あまりにすごい音と振動だったこともあって、自分のアパートの壁の真裏に場所を移したのかとも思い、ドアの外に見に行ったら、さっきの場所で金属製のノミとハンマーでガツンガツンやっている。階下の住民がみんな(といっても4人)出てきて何が起こったんだと顔を並べていた。下の住人「何してんだ」-おっさんの技師「ガスの漏れだからしょうがない」-住人「何も夕方に来てやんなくたっていいだろう」-技師「じゃあこのままにして帰るか?」などと怒鳴りあっている。

中に戻る。

するとまたガツンガツンと始めて、ちょっと心配になったのでベッドルームの壁を見てみると縦に1メートルくらいひびが走っている。
おいおい、こりゃこのまま続けたらまずいよと思って、もう一度外に出て、おっさんの所に行き、ちょっとこっち来て見てくれ、壁にひびが入ったと言って、連れてきて壁を見せたら、返ってきた言葉が「エ・インポッスィービレ(ありえない)」。下でやっているのにその上の階の壁が壊れるはずがない。俺のせいじゃないとくる。
そうなるとこちらも冗談じゃないということになって「マ?マ・ケ・スターテ・ア・ディーレ?(は?何言ってんだ?)。」頭に来て続ける。こんなひび今日の朝までなかったし、あんたが壁をぶっ叩いてどれだけの振動があったと思ってんだ?というとまた「インポッスィービレ」と反復。

とりあえず外に出て、さっきは居なかったどうも一緒に働いている同僚のおっさんにも同じクレームをつけると、俺たちはこれを直しているんだという返事。それは分かってるよ。じゃあそれで他人の家を壊していいのかと返すと、途中から無視し始めた。アジア人がうっとうしいなという感じが見え見え。
OK。そうなるとこちらにもやり方がある。あんたたちがそうなら、どうする、弁護士に電話するか警察呼ぶか?名刺か名前寄越せと紙とペンを持って詰め寄ると、やっと自分の携帯をだして、カスタマーサーヴィスに電話してその後ガス会社から係りが来ると言う。
信用できないからいつ来るかと聞いたら、今来る。来たらノックするから心配するなとのたまう。

たしかにいつまでも階段で押し問答を続けても埒が明かないので、自分のアパートに戻って、友人の弁護士に電話をしてアドヴァイスはもらっておいた(この国ではこういうことはちゃんとやっておいたほうが良い)。アパートの大家の方にも報告しておこうと電話をしたけれど、こちらは留守だったので今日また連絡を取らなくてはならない。その間に壁の写真もちゃんと撮っておく。

さて、しばらくしてドアがノックされて、開けるとさっきのおっさん二人組みが、係りの人は来ない。でも壁の写真を撮って帰る、と。

もういちど家のなかに入って写真を撮って、お前はガス会社にコンタクトしろ。それで解決すると言って出て行った。その間謝罪の言葉は一切なし。

正直な話、ひび自体はたいしたものではない。漆喰を塗りなおせばそれで済む程度。
一人が「おお、悪かった、これから気をつけて静かにやるからもう少しだけ我慢してくれ」と一言あれば、それでこちらの気も済んだのだが。
あの態度ではこちらも引く気になれず。(ひょっとすると依頼を受けたガス会社から何があっても謝るなという支持を受けているのかもしれない。)

ある種の頑固さというのは嫌いじゃない。でも頑迷さは時として許せない。

ただ自分でも面白いなと思えるのは、イタリアでの怒りはドライなものがおおい。じめじめと後を引かない。感情に任せてその場で言いたいことを吐き出してしまうから、そのせいでエネルギーが溜め込まれてネガティヴに醸されることがないのかもしれない。

一晩経ったら、意外と気が済んでしまっていたりする。

でも大家の意向を踏まえて、必要なら弁護士からガス会社に手紙を送ってもらうところまではするつもり。