Chiezaru’s diary

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秋の夜長へ


【 赤いボトル 】
Olympus PEN E-PL1 + Panasonic lumix 20mm f1.7

秋の夜長とは言っても今月末まではサマータイムなので日本のそれに比べるとそれほどのことはない。とはいえ日の出は遅くなり、日の入りが早くなってきているのがここ数日顕著に見て取れる。
季節とともに空気も入れ替わっているようで朝晩はすっかり質の違うものになった。

自分の場合、夜長の演出としてはやはり映画を観るか読書をするかが一番メジャーな選択肢になる。

昨日はイラン人アッバス・キアロスタミ監督『トスカーナの贋作』を。伊仏2010年公開。

いつものようにウィキペディアのリンク:『トスカーナの贋作』(英タイトルCertified Copy (仏タイトル: Copie conforme)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%81%AE%E8%B4%8B%E4%BD%9C

『トリコロール/青の愛』で見たのが印象深かったジュリエット・ビノシュが主人公の一人を巧演している。

最初は作家と子持ちの一人の女性の関係かと思って始まったストーリーはいつの間にか結婚15周年記念日を昨日に終えた夫婦になってしまう。ちょっと突飛な飛躍で???と間誤付いてしまう。

女として結婚生活に満足できない妻の不安定な心の葛藤がりるタイムに巧みに表現されてゆく。
心情のころころと変わる妻の意地悪ともいえる発言に振り回される夫。
しばしば苛つきながらも理解しようと勤めているが、本質が楽天家なのだろう。
夫婦の掛け合いは見ていて退屈なのにある意味でスリリングなのが非常に面白い。
よくできた作品だ。ああいうのはフランス人じゃないとできない。(精神的拷問。自分にはとても耐えられない。)

言語も英語、フランス語、イタリア語が入り混じる。
安定感をあえて壊すことで男と女の機微を描く。

男が見たら多分、夫の方に同意し、女性だと男の無神経さに苛立つかもしれない。

そういう意味でこれはキケンな映画だ。

100組のカップルが観たら、そのうち4組くらいが、この映画のせいで口論の果て別れ話に発展してしっまたり、とか。
そういう意味では非常にリアリスティックな作品。

倦怠期のカップルは観ないほうが良かったり。