Chiezaru’s diary

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ホームレスとトーポ


【 テヴェレのほとり 】- イタリア、ローマ
Olympus SP560-UZ

イタリア語でトーポ(Topo)というとネズミの意味。

昨日ランニングを終えてテヴェレ川土手下でストレッチをしているときの話。

川沿い、サイクリングロードのあるここは散歩をしたり、サイクリングしたり、写真を撮ったりランニングをしたり人々が行き交うところ。特に今の時期はティベリーナ島の近くにオープンエアーのレストランや出店が出ていて賑やか。

ストレッチとちょっとした運動をする場所は店の集まったところからは少し離れている。
走り終わって目の前の橋の下、いつも見るホームレスのおじさんがしゃがみこんで何やらしていて、今日は珍しく自分の持ち場(=土手下から道路に上がる階段の中間くらいがこの人の縄張り)を離れているなぁと思いながら自分のメニューをこなしていたら、暫くして立ち上がってこちらに歩いてくる。彼のテリトリーは運動している自分の前を通った向こう側なので、持ち場に帰るんだな見るともなく目の前を通り過ぎる彼を眺めていると、懐に何か入っていて、小動物の頭が見える。

ローマのホームレスが犬を連れているのは良くあることで、一瞬仔イヌか仔ネコを拾ったのかと解釈したら、顔をのぞかせているのはなんとネズミ。それもハツカネズミやハムスターのような可愛らしいのはなくてれっきとしたドブネズミ。

表情には出さずヒェー、マジかいと思い時々視界の端に観察していると、このネズミ随分おじさんに慣着いている。
幅50センチくらいの大理石できた階段の手すりの上に座ったおじさんに寄り添うようにして動かない。尻尾の長さはいれずに体長にして20センチくらいだろうか。

おじさんが少し離れたところに動くとトコトコついて行ってまたピタッと身体を預けている。

食べ物をもらうと上半身をもたげて両手で受け取って食べている。
その後はリスのように毛づくろいまで始めるし、完全に心を許している。
正直見ていてなかなか可愛らしくほほえましい。

実際途中通りかかった白人の女の子、二十歳位だろうか、が暫く彼らを観察していて、おじさんに話しかけ出した。カメラを出して写真を撮っていいかと聞いている模様。おじさんも嬉しそうに「e' mio amico(僕の友達なんだ)」と、たどたどしいイタリア語(おじさんは多分ポーランド人かルーマニア人)を喋ってOkを出していた。
その娘は結局5分くらいパシャパシャといろんなアングルからネズミの写真を撮っていた。

なかなかシュールな光景だった。

ちなみにホームレスはイタリア語の口語でバルボーネ(Barbone)、髭ぼうぼうの意味。