Chiezaru’s diary

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映画小感想


【 ペペロンチーノのある風景 】
Olympus E-5 + Olympus Zuiko Digital 12-60mm f/2.8-4 ED SWD

(風景というか自宅なのですが)

仕事の忙しさにかまけて腰を据えて観る映画からしばらく遠ざかっていたこともあって、そろそろドシッとしたものを観たいなと考えていた矢先、ブログでフォローしているzankuroさんの日記にタイトルの上がっていたデンマーク人ニコラス・ウィンディング・レフン監督の『ヴァルハラ・ライジング』(2009年)に食指が向く。

一言でいうと、かなり難解な映画。映像の美しさと残忍さが合いまみえシュールかつメタフィジカルな一本。

舞台はスコットランド(だと思う。もしくは北イングランド)から始まり、主人公は碧眼の男ワン・アイ。戦うことを課せられた奴隷は、敵と対峙するたびに慈悲無く惨殺の勝利を繰り返す。

あるとき囚われの身から自らを解放することに成功し、自分を拘束してきたものたちをことごく殺害する。
最後に残った奴隷時に世話をしてくれていた少年と(ハイランドの厳しく美しい)原野を放浪しているときに一群のカトリックキリスト教徒の戦士たちと出会い、そこからエルサレムを目指す船旅が始まる。

方角を失った船のたどり着いた場所はどこなのかわからない未開の地。

原住民の影無き襲撃に遭い狂気と正気の間を彷徨う同行者たち。

結局少年を残し皆死に去るという、フレンチテイストな最後なのだが、鑑賞が終わる頃から、こちらの頭はフル回転で「何?何故?」がひっきりなしに浮かんでくる羽目になった。

物語を追って思い出す。

全く話をしない主人公の男、その声を受信するかのように代弁する少年。
少年は碧眼の男は地獄からやってきたと説明する。

この男の頭のなかでどきどきフラッシュバックのように起きる予言のシーン。

海水を真水に変える奇跡の演出は神的力を持つ者の寓話を思わせる。

Wikipediaを繰ってみるとヴァルハラというのは北欧神話に出てくる主神オーディンの宮殿のこと。戦死者の館の意味があるらしい。
オーディンという神は自らの片目と引き換えに知恵と魔術を手に入れたと言われる。
その名の由来は「激怒する人」。

ワン・アイは間違いなくオーディンの仮託であるが、ストーリーを鑑みるとキリスト教の聖書の登場人物的な役割も果たしているはずだ。彼はキリストだったのか、それともユダだったのか。なんとなくさらに遡ってモーゼのイメージのほうが当てはまるような気もする。

久しぶりに挑戦的な一本に出会った気がする。

『地獄の黙示録』と『ミッション』を併せたような雰囲気の映画だった。

あの残った少年はオーディンの息子、神トールということになるのかなとふと思ったりも。

追記:zankuroさん。面白い映画を紹介していただいてありがとうございました。(頭の中、ほとんどパニックです-笑)

あと数枚↓

Olympus E-5 + Olympus Zuiko Digital 12-60mm f/2.8-4 ED SWD


Olympus E-5 + Olympus Zuiko Digital 12-60mm f/2.8-4 ED SWD


Canon EOS 5D + Canon EF 70-200mm f/4 L USM
(2005年発売の老兵初代5D。機能はともかく描写力ではまだまだ最新上位機に引けを取らない。)