Chiezaru’s diary

字を書くときはChiezaruで写真を撮るときはMeta_Monkey

少し和む話


【 ナポリ・ワンダーランド 】- ナポリの街中。とある店頭。
Olympus PEN E-PM1 + M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 Ⅱ R
(珍しく動画のアップ。編集なしの撮って出し。久しぶりにE-PM1のKitレンズを使ってみたところ動画を撮る場合手持ちのレンズの中で一番使い易い。それにしてもナポリ。不思議な雰囲気のある街。)

昨日は久々にランニングができた。
夏の間走っていた公園の中は照明設備が無く舗装されていない路面が全く見えず危ないので、前回から冬用に新しく開拓したコースを走っている。
といってもその公園に沿った一キロちょっとの(ほぼ)直線の歩道をひたすら往復するだけなので、味気ないといえば味気ない。だたそこには街灯が並んでいるので明るさは十分で車が横切ることもなく安全。
ランニングを習慣にしている人たちはみんな同じことを考えるらしく、結構同じところでラップを重ねるランナーがいる。
最近は運動頻度が下がっているので、運動不足を補うために冬コースは距離を伸ばして、7.8キロで設定してみた。
前回が初めてでそのときは41分ちょっと。昨日は40分29秒で走了。平均ペースは5:15min/km 。
身体がなまり始めているせいか7キロをを過ぎたあたりから右足の脛の筋肉が攣る寸前だった。

走り終わって公園の隅の少し奥まったところへストレッチと筋トレをしに。
そのスポットは大通り側からはあまり目立たない場所だけれど、街灯があるおかげで暗くなってから一人でいても怪しく思われないくて都合がよい。

少し休んで息を整えてからいつものやり方で筋肉をほぐし、それから忘れないように続けている空手の突き蹴りの基本動作を繰り返す。
(仕事が忙しかったり、時間帯が合わなかったりでかれこれ四年ほど稽古から遠ざかっているが一応某伝統空手流派の初段の免状を持っていて黒帯が許されている)。

いくつか動作をこなして電柱を相手に寸止めで横蹴りの蹴込みの距離を測っているあたりで、暗くなった公園を四人ほど歩いている影が見える。

特に気にせず黙々と自分のやることを続けていると、ちょうど街灯の明かりで顔の見えるあたりになったところでこちらに方向を変えてやってきて、そのうちの一人が「アォー!ケ・スタァ・ファ(おい、何やってんだ)?」(人に声を掛けるときのこの「アォー」というのが非常にローマ人だ)と話しかけてくる。多分この四人なかのリーダー格なのだろう。他の三人よりガタイがよい。昔流行ったエミネムみたいな格好をしている。

みんな16-18歳位だろうか。その年頃でちょっとやんちゃな連中の類に漏れず言葉遣いががさつ。(このテの人たちはなぜか暗がりが好きなようだが何故なのだろう。)
でも興味半分、悪意があるわけではないようなので、(以下伊語の会話を和訳⇒)「うん、鈍らないように、ちょっと練習してる。」といったら、「あんた、何かやってんのか?手ぇ出されたら、やっぱぶちのめしちまうんだろ?」と聞いていくるので「いや、やらない。あくまでも鍛錬のためにやってるだけ。」と返すと、でも「やっぱ、来たらやるんだろ?」(会話に目的語が抜けているので少し理解に苦しむが)「やるんだったら、そのときは腹を決めないといかんね。でも、そもそも相手が複数じゃ勝ち目ないよ。二人でも多分きついね。」と忌憚無く言ってみる。(格闘技をしてない人間が相手でも、一人、死に物狂いでかかってきたら、初段程度の実力ではかなり手を焼くと思う。正直なところ。)
すると一人が「オレこんなのできるぜ」と前蹴りを披露。・・腰が引けている。
続いて低空の回し蹴り。当人は中段か上段を意図しているらしい。(というかパンツが半分見えるところまでズボンを下ろしてはいていたら、それは脚を上げるのも無理であろうともちょっと思う。)
さらにぐらつきつつ後ろ回し蹴り。足払いを思わせる高さ・・・。

それから「高さはどうだ、高さは?」と訊いてくる。(この男もやっぱり目的語が欠落している。)
何の高さのことを意図しているのかいまひとつ判らなかったので「高さ?何の?」いうと。
どうもこちらがどのくらいの高さを蹴れるのかを知りたかったようだ。

シュチュエーション的に何か見せてあげないと終わらない展開になってきてたので、こちらも。「うん。ブラーヴォ。」とその一人を褒めてあげてから、ちょっとスナップを効かせて上段回し蹴りを。自分の頭くらいの高さで(ちょっと頑張って-笑)。
薄暗いせいもあって動きが速く見えるのに加えて、好都合なことに昨日は寒かったおかげで長いトレーニングパンツを穿いていて裾の部分でバッとなかなかいい感じの効果音が入った。

瞬間、四人して「おおっ」と唸り声が上がったのをみると悪くない見世物だったようだ。
ついでに上段後ろ回し蹴りも。

すると、さっきの技を見せてくれた一人が、「オレはキックボクシングやったことがあんだ。」と言うので、「ああ、あの蹴りは体重が乗るからすごいね。」とキック風のローキックの真似事をしてあげたら、その返事が意に適ったのか、四人でぼそぼそと何か語り合ったあと、エミネム君が「じゃぁな、ジャッキー・チェン」と手を差し伸べてきたので、(ジャッキー・チェン・・と思いながらも)握手して、「ブォナ・セラータ(良い晩を)」と言ってあげたら満足したようで四人そろって大通りのほうに歩き去っていった。

そのあと残ったメニューをこなして、帰宅。さっき起こったことを彼女に話していたら、なんだかほのぼのとした気持ちになったという話。