Chiezaru’s diary

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日曜日の映画


【 すべての道はここに続いているらしい 】- ローマ
Canon EOS 5D + Sigma EX 17-35mm f2.8-4 Aspherical HSM

カメラとレンズに造詣の深いフィレンツェにお住まいのレオナルドさんのブログをフォローさせていていただいている。この方の載せる写真はいつも印象的。
先日日記で取り上げられていた映画、ベルナルド・ベルトルッチ監督『暗殺の森(伊語原題:Il conformista:』(1970伊仏)。

http://blog.goo.ne.jp/no-ai-no/e/cca730fdc37a39f7ddd557a8612edb9f

ずっと観たいと思っていて昨日やっと鑑賞できた。

この後に作られることになる『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972年)の胎動を感じる秀作。
原語のタイトル「Il conformista(イル・コンフォルミスタ)」の意味を引くと、(法律・慣行などに)従う人、遵奉(じゆんぽう)者、(むやみな)順応者、とある。
舞台は主にファシズムの主導から終焉へ向かうフランス、イタリア。幼少時のトラウマを持つ男が当時の思想の主流にながされ「優柔不断なファシスト=conformista」になり(人道的)罪を犯し、エンディングにはアイデンティティを根こそぎひっくりかされるというなんとも救いのない物語。
アメリカからは絶対に出てきそうにないもの。(クリント・イーストウッドだったらやるかも。でもスタイルは大きく変わるはず。)
ストーリーテリングは主人公の混乱を表すかのように断片的で、タイムラインが交錯しているために非常に難解。こういうところは絵作りも含めてフェリーニ的テイストが随所に見られる。

ストーリーに混乱させられながら絵画的構図、妖しく美しきエロス、映像視覚効果に陶酔する。ヨーロッパの映画の良さが凝縮したような成熟の一作。
とても良かった。大人の映画というのはこういうのを言うのだろう。

今年観た中では今のところベスト・ワンかもしれない。

ベルトルッチの作品は「映画」としては坂本隆一が音楽で参加する前の方が良かった気がする。『シェルタリング・スカイ』、『リトル・ブッダ』、『ラスト・エンペラー』どれも秀作だが、何年も前に観て物語の筋すら忘れてしまっているのにすばらしい映画だったという印象の『ラストタンゴ・イン・パリ』には届いていないように思う。
(上記タイトルに使われている坂本隆一のトラックは大好きで、音楽を聴かない自分がCDを持っているほど。ベルトルッチと坂本の組み合わせが悪いと言っているのではなく、作品作りのターニング・ポイントがその辺なんじゃないかと、そう思っているだけです。)