Chiezaru’s diary

字を書くときはChiezaruで写真を撮るときはMeta_Monkey

とあるカモメのこと


【 道 】
Olympus E-5 + Panasonic Leica D Summilux 25mm f/1.4

(去年撮ったストックから。)

月曜日にランニングをして、ゴール地点(いつものテヴェレ川のほとり)でストレッチ等々をしているときに若いカモメが一羽たたずんでいて10メートルほどの距離を置いてずっとこちらを見ていた。
ゆっくりと3メートルくらいまで近づいてみたけれど逃げないので、ちょっと変わったやつだなと思いながら、こちらも気にしながら自分のメニューをこなす。
30分ほど、最後には川縁で自分から5メートルくらいの距離まで近寄ってきて足を畳んで座りこんでつぶらな瞳でこちらを見ている。若い鳥の黒目がちな目がかわいらしい。
こちらもなんとなく親近感が湧いて、運動が終わったあとにどこまで近づけるか試してみた。やはり3メートルあたりがボーダーラインのようで、その圏内に入ると首をもたげ少し警戒態勢に入る。ん、こいつどういうつもりなんだ、このままじっとしていようか、逃げようかとおたおたした感じになり、さら寄るとさすがに腰を上げて、な、な、なんだよお前という感じでのそのそ歩いて数歩遠ざかる。
でもある程度以上は離れないし、飛んで逃げようという気配もない。

そんなことを何度か繰り返して、カモメに向かってじゃあねと言って帰宅した。

昨日今週二度目のトレーニングをして、同じ地点で終了、ルーティーンをこなしているとき、泳いでいる鴨たちの中にあの親子は居ないかなと視線を巡らせていたら、まだ幼鳥の模様のカモメが一羽水草の間に浮かんでいた。翼が力なく中途半端に広がり、頭は水の中。まったく動かない。一目で死んでいるのがわかる。
たぶん月曜日に見たあのカモメだ。

やっぱり人懐っこかったのではなくて、体調が悪くて動けなかったんだなと思う。

あのあと無防備におかしな人に近づいて行って何かされたのか、犬かあの辺に住んでいる巨大ねずみ襲われたのか。

こちらを見る目がどことなく助けを求めるような視線だったよう気もしてくる。
そう思うと少し切ない気持ちになる。

胸の中で合掌して南無阿弥陀仏を数度繰り返した。

人間の独りよがりな言い分だけど、君の死を悼むものがせめて一人はいたんだよ。

成仏してほしい。