Chiezaru’s diary

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日曜日の読書


【 ランプ 】- ヴァチカン市国、サン・ピエトロ広場
Olympus E-5 + Olympus Zuiko Digital 12-60mm f/2.8-4 ED SWD

昨日は風邪のせいか微妙に体調が万全ではなかったので、一日安静にしていた。
頭を使わない映画でも見ようと思って、この前手元に廻ってきたミラ・ジョヴォヴィッチ主演『バイオハザードIV アフターライフ(原題 Resident Evil: Afterlife)』を見始める。

最初の10分でダメ出し。

やめる。ちょっとお粗末過ぎる作り。

なので読書を進めることに。
読み残していた村上春樹著「ダンス・ダンス・ダンス」の下巻の半分ほどを読んでしまう。
面白かった。
「風の歌を聴け」から「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」を経る4部作の完結編。

ご本人の日記的エッセイ「遠い太鼓」の中でも書かれていたように、「ダンス・ダンス・ダンス」は読んでいて、氏にしては、とてものびのびした文章であるように思った。
これの前の著作が「ノルウェイの森」ですごく抑えて注意深く書かれていたのでその反動もあったのかもしれない。

4部作は第3部「羊をめぐる冒険」からストーリーにファンタジーの要素が多く織り込まれるようになる。ある意味で村上スタイルの成立だったように思う。
「羊を・・」のあと書かれた「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」では作者の空想の翼が自在に羽ばたいている。
個人的には一番好きな作品の一つだ。
例えがおかしいかもしれないが宮崎駿諸作品中の「天空の城ラピュタ」があるような位置づけに村上作品の「世界の終わり・・」が当てはまるような感じがする。

「ダンス・ダンス・ダンス」はその完結が「ユミヨシさん、朝だ。」と締めくくられるように前三作(多分「ノルウェイの森」すらも)を受けて主人公にやっと光をもたらす。珍しくはっきりとした終わり方。

同時にこれも氏にしては珍しく「僕」が多弁で感情の吐露が多く、反復が多い。

作者のなかのわだかまりのようなものが、「ノルウェイの森」での圧力から解放されて迸り出たような印象を受けた。そういう意味ではとてもストレートで無防備な作品だと言える。

「ダンス・ダンス・ダンス」。村上氏は誰よりも一番自分自身のために書いたものではないだろうかと思い、ふと、腑に落ちた。

深夜1時くらいに読了、その後暫くベッドの中で空想をめぐらせていた。
素敵な小説。