Chiezaru’s diary

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嗚呼イタリア

一日の始まりはごく平凡。
出勤時まずレセプションに寄って、ホステルの状況確認をしてから、向かいのバールへ。
エスプレッソとコルネットをテイクアウトで買ってオフィスに移動。

PCの電源を入れて、その日のTwitterに流すために天気やら為替やらニュースやらを検索していると、途中から、全然データが落ちてこない。
ネットが繋がっていないらしい。
その辺はよくあることなので10分も待てばいいか、と思っていると受付から内線が来て、ネットが使えない。とのこと。

なるほど。

ウチはオフィスのネット回線と電話回線、お客さん用のネット回線は3本別々に独立したラインでやっているので、ためしにもう一方のお客さん用の線が使えるか訪ねてみると、どうもそちらも死んでいるようす。
違う会社のサーヴィスの2回線が同時に不通になるのは、滅多にない。

ためしに電話を使ってみると、案の定コイツもプッツリいっている。

こうなると、かなりおかしい。

まずピンときたのは今やっている外壁の修繕。
業者が足場を組んで、高いところではクレーンまで使って壁面の改修をしている。

スタッフを送って聞いてみると、やっぱり。
壁の上を走っている無数の線をボスの命令で全部切断したとのこと。

全部。建物に入っている全てのアパートの電話線を全部。

仕方がないのでとりあえず、携帯からボスに連絡して、状況を伝えると、どうも彼は「いらない線は」全部切れと言い付けたらしい。(やっぱり。そんなことだろうと思った。)
とりあえず電気屋に電話するからちょっと待っててくれとのこと。<<エレヴェーター>>
電話を切って、少しするとまたレセプションから内線。
受話器を取り上げてみると、受付スタッフのカルロ君がいきなり救急車を呼んでくれとのこと。

は?

良く判らないから、ちゃんと説明するように言うと、現在外壁と同時進行でやっているエレヴェーター工事をしてる作業員が怪我をしたのだという。

オーケー。

救急車を呼ぶからもう少しちゃんと説明するように言うと、どうもエレヴェーターの囲いに使う巨大なガラス板を運んでいて手違いがあった模様。
それを割って、運んでいた二人が負傷したらしい。(結局自分の眼では見なかったけれど)一人が左上腕を切り裂いて骨まで見える重傷。ロビーから建物入り口が血まみれだという。

オーケー。

内線を切ってまた携帯で今度は118番(イタリアで救急車を呼ぶときの番号)にかける。
回線が込んでいるのか一度落ちる。
もう一度かけなおしたら、やっぱり回線が込んでいるから暫くお待ちくださいとの録音アナウンスが。
まっていたら比較的早くオペレーターの男がでたので、手短に一通り聞いたことを説明し、ホステルの大まかな位置と正確な住所を告げると、ああテルミニ駅の近くだなと、すぐ了解してくれたので、緊急でお願いしますというと、今から行きますと返事があり会話が終了。

また内線でとりあえず救急車を呼んだことをレセプションに伝えて、オフィスで待機。

待つ・・
待つ・・

暫く経っても全然サイレンの音が聞こえてこない。

待つ・・
待つ・・

10分が経過

待つ・・

レセプションから内線。着いたのかと思って聞いてみると、あまりに遅くて出血がひどいから同僚の車で病院へ運んだとのこと。

オーケー。

こうなったら救急車が来たら状況を話せばいいとおもい会話を終了。

待つ・・待つ・・

・・今に至る。

8時間経ってまだ来なければ、もう来ないだろうなあ。

幸い怪我をした作業員は運び込まれた病院で手当てを受けて大事には至らなかったらしい。<<電話線>>
この国はごく少数のすごく有能な人々と大多数のそうでない人で成り立っている。
連絡を受けてウチのネットワーク技師のイーヴァンが電気屋のいとこと一緒に来てくれた。
回線カットから約3時間。無数の断ち切られたラインからウチの線を発見。
つなぎなおして見事に2本のネット回線と電話を復帰させてくれた。

もし彼がいなかったらいつ来るともないテレコムイタリアの技師を延々と待つ羽目になっていただろう。

そういえば、去年ホステルの前の道路工事で工事会社が電気回線ごとショヴェルカーで掘り返してくれたこともあった。
一帯丸一日ブラックアウト。

こういうことが頻繁に起こると宿泊業に従事する僕達としてはとても困る。

本当に困る。

・・嗚呼イタリア

長くなった。

最後まで読んでくれた方。
お付き合いいただきありがとうございました。