衝撃的
アレハンドロ・アメナーバル監督「アゴラ(Agora)」を鑑賞。
アゴラとはギリシャ語起源で人々が集まる場所の意味。
この10年で観た映画の中でももっとも衝撃的な一本だった。
キリスト教の悪。これほどキリスト教徒をこれほどまでにアグレッシヴに、ディストラクティヴにそしてプリミティヴに描き出した作品がこれまであっただろうか。
一歩間違えば異端者として命を狙われかねない内容だ。
静かな科学の眼はキリスト教によってどれだけその可能性を奪われたのか、西洋科学はキリスト教のせいで大幅に遅れたと想像できる。
いままだキリスト教は迫害されてきたものとしてその悪を掘り下げる映画は殆ど無かったように思う。
キリスト教に限らずとも宗教があろうともそこに参加する人間が下等であればそれは何の神聖性など持たない、ただのグループに化してしまう。
その恐ろしさを良く描いていた。
ただし、舞台がアレッサンドリア、アラブ文化が背景になっていること、性的なヴァイオレンスの描写は一切無いことはこの作品のズルさだとおもう。
観終わってアレハンドロ・アメナーバルというヒトは実は敬虔なクリスチャンなのか、もしかするとゲイなのかも思った。ひょっとするとその両方かもしれない。
どんなヒトなのか興味がわいたので、ちょっと調べてみようと思う。
ごく普通の文化人でアンチ・クリスチャンと言う線も捨てがたいし。
久しぶりに観て興奮できる映画だった。
傑作。